「有する能力の復活」と「支援量」のはなし(2) | - 2009/01/21
- 大腿骨頸部骨折による入院〜手術からホームに帰ってきたまきサンの両足は、11日間の入院によって筋力が衰え、術後の痛みが伴う状態となっていた ― 。
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【病院でのリハビリの現実】
病院(医師)は術後たいてい、機能を回復しようとリハビリを勧める。
それは「病人やケガ人を診察・治療する施設」である病院、「所定の資格を得て、病気やケガの診察・治療を業とする人」である医師からすれば当然であり、術後にリハビリを行うとなるのも、リハビリは「治療段階を終えた疾病や外傷の後遺症を持つ人に対して、医学的・心理学的な指導や機能訓練を施し、機能回復・社会復帰をはかること」であるから当然なのだ。
ただ、これまでの僕の経験からすると、認知症の状態である人を病院でのリハビリで以前の状態(またはそれにできる限り近い状態)に復活させるのは難しい。
というのも、さっき書いたリハビリの意味には「治療段階を終えた疾病や外傷の“後遺症を持つ人”に対して、医学的・心理学的な指導や機能訓練を施し、機能回復・社会復帰をはかること」とあるのだが、この「〜後遺症を持つ人」の人の前に「認知症の状態である」が抜け落ちているからだ。
認知症とは「原因となる疾患によって脳が器質的に変化し、そのことによって知的能力が衰退し生活に障害をきたした状態(記憶障害と認知障害がある状態)」なのだが、その状態にある人に対応したリハビリシステムが今の病院にはない。
わかりやすく言えば、認知症対応型医療(入院)機関・認知症対応型リハビリがないということだ。
故に、病院でのリハビリといっても記憶障害と認知障害をもった状態にある人に、一般的な状態にある人と同じようにリハビリを施す(施すよう本人に促す)しかなく、結果、認知症の状態である人が以前の状態(またはそれにできる限り近い状態)に戻る可能性は低いと言わざるを得ない。
これが現実なのだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 【その他、入院での現実】
婆ちゃんたちは入院が長くなると、本来入院する原因となった病気やケガ(部位)以外の障害が現れる(持つ)可能性が高くなる。 簡単に言うと「病気・ケガは治ったけど、寝たきりになった」っていうやつだ。
更に、入院となると認知症であるがために拘束される可能性がとても高い。 それは、認知症であるために「動いちゃいけないのに動く」「点滴の管を抜く」なんてことが巻き起こるからで、認知症の状態であればそれは当然なのだが、認知症に対応する医療(入院)機関 ― システムがないがために拘束という対処をされてしまう。 拘束された婆ちゃんたちはどうなるか…。ほとんどが有する能力を失い、死んだような目になっていく。
このどれもこれも、僕のデイや特養で働いていた時から15年の経験からくるもの。
僕の経験からくる現実なのだ。
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僕が働くグループホームでは以上の“現実”を踏まえ、入院した場合のその後の方針(考え方)が決まっている。その方針は「入院した場合は早期退院を目指す」だ。
方針(考え方)が決まったら次は、「その方針(考え方)を踏まえ、支援専門職として自分たちがやるべきこと(仕事)・その方針(考え方)を実現するために自分たちがやるべきこと(仕事)」をやる!!(事前にまとめておくことも大事だろう)。
ということで、そのやるべきこと(仕事)の第1ステージは「家族・医師(病院)と方向性の共有」になるのだが、そんな第1ステージの話しは次回に。
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